手しごといっぱい!

手しごといっぱい!

~ゲーテの色彩論を発展させたシュタイナーの宇宙的色彩論~

【訳者からのメッセージ】

 ニュートン光学・ゲーテ色彩論・シュタイナー色彩学へと、近年の色彩研究は発展してきました。ルドルフ・シュタイナーは独自の精神科学=人智学の構築にあたって、芸術的要素を不可欠のものとして重視した人物です。

 白黒の線描画が頭に関わるのに対して、彩色画は心を開き、潤わせます(彫塑は生命を強め、音楽は魂に触れます)。自然界に現われているさまざまな色の源を、シュタイナーは心の世界( 輝く色彩の海)に探究し、魂の世界を音楽の源泉と見ました。自然界の生命、色とりどりに輝く雲海のような心の世界、天空の音の響く魂の世界が、彼の研究テーマでした。

 そのように色彩の世界を重視したシュタイナーですが、彼が色彩について語った講義をまとめたものは、シュタイナー全集のなかで本書だけです。

 華やかな色、淡い色、渋い色など、日本の美術は比類ない奥行きを示しています。庶民も通人・粋人も天賦の色彩感覚・美的感覚に恵まれた日本では、シュタイナーのスピリチュアルな色彩論は容易に受容されることと思います。

 芸術家・美術愛好家だけでなく、自然の彩りを味わう人々、生活空間における色彩の働きを知ろうとする人々に、本書で語られている内容は大きな示唆を与えるはずです。 

 

¥ 1,980