創設者であり、「ネフスピール」のデザインで有名なクルト・ネフ氏が迎えて下さりお話や彼の個人的工房も見せて頂き私の今までのネフ社の印象が少し変わりました。今では、洗練されたデザインが目を引き、高級感あるインテリア的積み木として大人に大人気の商品ですが、ネフ社のこだわりは、あくまで子どもの創造性を育む玩具である事、障害のある子どもも含めて全ての子ども達が遊べるという事など、そういった視点で創作に励んでおられました。残念ながら工場内の撮影は企業秘密のためできませんでしたが、最新の機械技術と1つ1つの手作業の工程を拝見することができ、トップメーカーの由縁を感じました。
緑豊かな山の中腹にあるアルビスブラン社は、メルヒェンおすすめの「玉の塔レインドロップ」や「Aつみき」「メリーゴーランド」などを作っている会社です。ここでは知的には健常でありながら行動障害の傾向がある13〜22才の男子青年達が本職の人たちと一緒に技術を身につけて働いています。とても素晴らしい環境の中、木の素材を厳選し一つ一つ丁寧に作られています。 アトリエ・ニキティキの西川社長がヨーロッパではじめて買ったおもちゃがこのアルビスブラン社のメリーゴーランドと伺い、どの商品も人の心に響くような玩具だなと感じました。
ゲッツヒホフは、知的障害者が治療を受けながら団体生活を送り、作品を作っている工房です。そこには、さまざまな美しい作品が並べられていました。以前、イギリスとアイルランドのキャンプヒルに行き、同じような光景を目にしましたが、ここスイスでは福祉が充実していて、福祉大国スイスを確認できました。
旅の最後は、キーナー社を訪問し、明るいキーナー女史に迎えられました。ここもまた自然豊かな素晴らしい環境で、自閉症やアルコール依存症、心に問題がある人々が保護され、寮生活を送り仕事をしていました。 キーナーと言えば、美しい絵と色で「キーナーメモリー」や「キーナーモザイク」「愛の絵本」「蝶」などでおなじみですが、豊かな庭園や農場があり自給自足の理想的な暮らしの中であの美しいデザインや絵が生まれたのだと実感できました。 木に直接印刷するというオフセット印刷は今ではとてもめずらしく、貴重な印刷技術だそうです。